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2018 臨床歯科を語る会 分科会

『 歯周再生療法への期待 』   2018臨床歯科を語る会 分科会

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 医科では、多能性幹細胞による再生療法のイノベーション創出が期待されている。歯科においては、代替治療が安易に導入されているが、生体本来の歯牙組織を保存すべきという医療の本質は重要である。そこで、再生療法が歯牙保存限界を変える可能性に期待した。

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【 第1症例:歯根露出への対応 】
 MTMにより舌側に移動させて”場”の環境づくりを行った後、EMDOGAINとFGGにより根面被覆をおこなった。上皮性付着により歯周ポケットは消失し、15年経過後も安定している。過酷な条件でのクリアは、歯牙保存限界を変える可能性を持つ。


2018語る会2

【 第2症例:骨誘導前に固有歯槽骨が出現 】
 右上6近心側の2壁性骨縁下欠損に対し、再生療法の治癒像に期待した。歯周ポケット上皮は、一層削ぎ落として新鮮創とし、歯根面と歯槽骨面をディブライドメント後、EMDOGAIN塗布とともに右上5部から採取した自家骨を粉砕補填し、歯槽骨誘導の核になることを期待した。再生療法には、歯頸部軟組織の緊密な封鎖が重要であると考えている。EMDOGAINの作用機序によると最初に歯根膜が増殖し固有歯槽骨が形成され、次に支持歯槽骨が寄り添う。歯槽骨頂が歯根に直交する組織像は歯周組織再生の目標である。


2018語る会3

【 第3症例:置換性吸収から炎症性吸収 】
 上顎左右11の重度歯周疾患に対し再生再植をおこなった。右上1には根尖を超える透過像が見られ、左上1は10mmの歯周ポケットを認めた。保存が困難な状況であるが、上顎3223は健全なため最小限の侵襲で保存の可能性に期待した。根尖方向にソケット形成を行ない挺出分を調整した。2年目、歯槽骨頂歯槽硬線は水平的に改善したが、右上1の根尖部に炎症性歯根吸収が見られ、水酸化Caによるアルカリフォスファターゼの活性化に期待した。10年目まで経過良好であったが、左上1の頬側に炎症性歯根吸収が生じ、MTAにて経過観察中である。


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【 第4症例:歯根膜が歯槽骨をリモデリング 】
 左下7の根尖を超える骨縁下欠損に対し180°回転させ再生再植をおこなった。有髄歯でありエンド由来ではなかった。抜歯時、遠心側には肥厚した歯根膜が、近心側には根尖まで歯石沈着が見られた。180°回転させ、近心側では歯根膜による歯槽骨のリモデリングを、遠心側では固有歯槽骨に残存する歯根膜の再生を期待した。結果、近心側では固有歯槽骨が出現したが、遠心側は7年目に炎症性歯根吸収が確認された。歯根吸収部を除去し生物学的幅径を獲得した上皮性付着で安定している。


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【 第5症例:歯根と歯槽骨との距離 】
 再植時に損傷した歯根膜が回復する前に、骨細胞が到達すると歯根吸収を惹起すると考えられる。そこで、歯根膜増殖のために再植時に歯根と歯槽骨との間にスペースを付与した。左上6にインプラントを希望されたが、左上5の根尖病変から排膿があり欠損部に透過像が見られた。エンドによる改善が見られないため歯根端切除と逆根充後、歯根膜が多く残存する近心側を遠心側に180°回転した。結果、歯根膜による歯槽骨のリモデリングが生じた。歯槽骨との間にスペースを付与した罹患した歯根面には歯根吸収像は見られていない。


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【 第6症例:矯正治療後のペリオ 】
 成人矯正において、歯周管理が重要であることは言うに及ばない。矯正専門医から重度歯周疾患に罹患した上顎左右22の治療依頼である。歯根短縮とともに根尖に至るX線透過像が見える。有髄歯であるが、エンド由来も考慮したが治癒しないため、再生再植を行った。抜歯時、口蓋側には根尖に至る歯石沈着と根尖の歯根吸収像が確認できた。再生再植時、歯根と歯槽骨との間にスペースがあったことが功を奏して10年後でも歯根吸収は生じていない。長い上皮性付着の状態で安定しており、結合組織性付着への可能性も期待される。


2018語る会7

【 まとめ 】
 『歯周再生療法の鍵』は、1)水酸化Ca によるアルカリフォスファターゼの活性化  2)歯頸部の歯肉結合組織による緊密な封鎖 3)歯根と骨組織間のスペースと考えている。歯周組織再生療法に関連した文献では、歯肉退縮のメーナードの分類、EMDOGAINの作用機序、Melcherの仮説、歯根吸収の組織像、Andreasenの歯根膜の幅とアンキローシスなどが参考になったが、臨学一体として下野正基病理学教授に『臨床の疑問に基礎が答える』のご示唆を頂いたことは、臨床家だけで行う範疇を突き抜けて明確でアカデミックな考えに繋がった。



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